帯状皮質って中間管理職なのか
(9)前帯状皮質膝前部(32野)
3)膝前部の機能
3-2)社会的認知
◎前帯状皮質膝前部は、｢社会的認知｣に関わる。社会的認知にはいくつか定義がある。｢社会｣的｢認知｣とは、｢環境の中にある対象｣を｢知覚し判断し解釈｣する過程をいう。あるいは、｢他者の意図や性質｣を理解する、人としての能力を含む、｢対人関係｣の基礎となる精神活動をいう。
具体的に言えば、社会的認知には、自己に関する判断、人一般に関する判断、および他者の意図･信念の想像(メンタライジング:心の理論)が含まれる。
より詳細に言えば、個人識別、表情認知、情動認知、視線処理、心の理論などが社会的認知を構成する。
例えば、膝前部は、提示された形容詞が、人に関わる名詞の前に来うるのかどうかを判断する課題において高い活動を示す。
注)視線、指差ジェスチャー、矢印シンボルなどは、自動(無意識･ボトムアップ)的な注意の切り換えをもたらす。こうした処理における神経基盤は、右半球の上側頭溝･下頭頂小葉･腹側前頭前野･後頭葉である。
参照)｢表情認知｣に関しては、｢6)後部帯状皮質｣の｢(4)顔面形態表情の認知｣
3-3)他者の意図
◎｢他者の意図｣は、上記の｢社会的認知｣と重なる内容だが、別項を立てた。他者の意図は、社会的認知行為の一項目である。
◎前帯状皮質膝前部は、メンタライジング課題において、つまり、被験者が物語を読んだ後、｢登場人物の意図や信念｣に関する質問に答える際に、強く活性化する。
◎メタライジング、心の理論にかかわるネットワークは、前頭前野内側部、前帯状皮質、側頭頭頂接合部、上側頭溝後部などから成り立つ。
参考)DMN は、主に内側前頭前皮質、腹側前帯状皮質(32野:膝前部)、後帯状皮質などが含まれ、自己関連付けに関連する。中央実行機能は、背外側前頭前皮質、後部頭頂葉から構成され、目標指向性の行動や情動制御など高次認知機能を担う。顕著性ネットワークは、前部島皮質と背側前帯状皮質(24野)、扁桃体、中脳で構成され、情動情報･報酬情報を検知し、DMNと中央実行機能の切り替えを行う。
