帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (8)(帯状)膝下野(25野) 3)膝下野の機能やその障害 4)扁桃体と膝下野

帯状皮質って中間管理職なのか
(8)(帯状)膝下野(25野)
3)膝下野の機能やその障害
4)扁桃体と膝下野
参照)「扁桃体」に関しては、「*1帯状皮質(個別機能3)」の「10)「扁桃体」」
扁桃体中心核からは、さまざまな脳部位に線維出力・投射される。扁桃体「中心核」からの投射が、「恐怖の情動表出」の神経経路としての役割を果たす。マウスの例であるが、例えば、下位階層にある、「中脳中心灰白質」ですくみ行動を、「外側視床下部」で血圧・心拍数増加を、「視床下部室傍核」で副腎皮質ホルモンの濃度上昇を、橋にある「結合腕傍核」で呼吸数増加をもたらす。
◎記憶を司る「海馬の隣」に位置する扁桃体は、入力した感覚情報をもとに「海馬から記憶を引き出し照合」する。前帯状皮質の先端に位置する前帯状皮質「膝下野」は、「扁桃体」と相互的に密な連絡があり、扁桃体から情動性の情報を受ける。扁桃体の「外側基底核」と前帯状皮質膝下野との機能結合の強さが、恐怖に関連する記憶の形成促進に特異的に関わる。そしてこの機能結合は健康であっても不安になりやすい性格傾向を持つ場合に強まりやすい。
参考)「扁桃体」には、脳幹レベルから味覚や内臓知覚、血液循環に関する諸核(孤束核、結合腕傍核など)から直接の投射があり、また、聴覚情報は視床(内側膝状体の関連近傍核)からの入力がある。さらに、扁桃体は、前頭葉や側頭葉との間に相互結合関係をもっている。また、扁桃体中心核からの出力経路の一つに、視床下部や中隔核へ向かう神経束(分界条)がある。
◎悲しい状態では、25野(膝下野)の血流量が増加する一方、扁桃体では反対に血流量は減少する。幸福な状態では、25野の血流量が減少し、扁桃体の血流量は逆に増加する。このように前帯状皮質情動領域と扁桃体は、相互に逆相関し、情動のバランスを調節している。
扁桃体は、主に(ボトムアップ型)無意識的情動状態に関与して、(トップダウン型)意識的感情の際は活動しない。
疑問)意識的と無意識的との境界線は何処だろうか。
解)(前)帯状皮質がそれを分けているように思える。例えば、帯状皮質が、ボトムアップで上がって来る情報を無意識的とみて、大脳新皮質前頭葉から来るトップダウン情報を意識的とみなすとか。所で注意にはボトムアップ型不随意注意とトップダウン型随意注意とがあるが、意識は随意的「注意」だけを起動する。意識は固定的場所で、注意は志向性(方向性)で場所は問わない。意識は、二段階あり、起きている状態にある覚醒というアイドリング状態と、自分の今の態や、周囲の状況などを認識できている状態だが、これは無意識でも可能で、それが正常かどうかを照合する上位階層からのメタ認知が意識(監視機能)といえる。となれば、意識は中央実行機能だろうか。
扁桃体⇒情動的前帯状皮質吻側部(25野)⇒認知的前帯状皮質尾側部(24野)⇒扁桃体へのフィードバック回路(恐怖や不安の反応を抑制する)が存在する。扁桃体から前帯状皮質情動領域へ、情動領域から認知領域を経て扁桃体へフィードバック情報を渡す。
「強い不安」は、「扁桃体を過活動」にしてしまい、更に、本来それを抑制しなければならない前頭前野あるいは前帯状皮質の機能が何らかの原因で低下している場合には、過活動が維持される。つまり、本体自身(扁桃体)がアクセスを効かし過ぎるか、ブレーキ(前頭前野、前帯状皮質認知領域)の効きが弱いか。
◎情動関連領域の前帯状皮質吻側部(1)膝下野)は、「2)扁桃体」、「前頭前野(3)眼窩前頭前野、4)内側前頭前野)」、「5)前部島皮質」と双方向性の結合関係(線維連絡)にある。そのことによって、膝下野は、「情動刺激で活性化」して、「他者の情動」を読み取り、「情動を体験」して、「情動反応」や「情動行動」を発現させる。
より具体的には、膝下野(前帯状皮質吻側部)(25野)(情動領域)と眼窩前頭前野(11野12野)は、1)視床下部(身体情報)ー2)視床(感覚情報)ー3)扁桃体(感情情報)からの、ボトムアップした情報を統合し処理する。その後に、その司令(トップダウン情報)を下位階層の扁桃体視床下部に再度フィードバックする、その折り返し地点に膝下野と眼窩部は位置する。統合後の情報を、情動行動や自律神経反応に関連する領域(「中脳中心灰白質」と「弧束核」)へ出力する。
注)孤束核(延髄)には、味覚をつかさどる孤束核上部、舌咽神経を介して舌奥・扁桃咽頭後壁の触覚と温痛覚をつかさどる孤束核下部がある。

*1:5-4