帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (8)(帯状)膝下野(25野) 3)膝下野の機能やその障害 1)感情・情動

帯状皮質って中間管理職なのか
(8)(帯状)膝下野(25野)
3)膝下野の機能やその障害
注)帯状皮質情動領域は、24野、32野、25野、33野が含まれる。
1)感情・情動
1-1)幸せ感情
◎幸福度が高い人ほど、(内側前頭前野の一領域である)吻側前帯状皮質(25野)と呼ばれる脳領域の体積が大きい。また幸せ感情の程度が高い人ほど吻側前帯状皮質の活動が大きい。さらに、ポジティブな出来事を想像しているときの吻側前帯状皮質の活動レベルは、その場所の体積と相関している。
参考)幸福感が強い人ほど、右楔前部の体積が大きく、弱い人ほど小さいという比例関係がある。
注)脳は、筋肉と同じように、鍛えれば鍛えるほど、使えば使うほど特定のその脳領域の体積が大きくなる。
疑問)膝下野(25野)の大きさと幸福度は、何故比例するのだろうか。膝下野は、ポジティブ(幸)でもネガティブ(不幸)でも、様々な感情に関わって活性化するのに。幸福度を感情の強さと一般化して捉えるべきなのか。
解)情動ごとに、島皮質、二次体性感覚野、帯状皮質視床下部
脳幹上部で、活動が変化し、その変化パターンは異なっている。
その内で、感情の想起中に活動する島皮質は、痛みや温度の意識的知覚に際しても活動する。島皮質は、末梢神経線維に端を発する経路を経て、恒常性維持に関わる情報(例えば、温度と痛みの情報、血中 pH、二酸化炭素、酸素の変化など)を受ける。だから膝下野単独で感情・情動を表現しているわけではない。ということで、結論的には、不明であるが、報酬に伴って活動する脳部位は、前帯状皮質領域(膝前部:32野を中心)と後帯状皮質領域(脳梁膨大後部皮質を中心)であり、罰に伴って活動する脳部位は、前帯状皮質後部(32野24野)である。 ということが関係するかもしれない。
1-2)「悲しみの感情」
◎健常被験者が、自身に起こった悲しい出来事を想起した際に、(帯状)膝下野(25野)が強く活動する。同じく、悲しみを実際に体験した時も、帯状皮質膝下野が活動した。ということは、つまり、「「膝下野は、悲しみの感情にも幸せの感情にも関わる」。
◎「仲間外れ」にされた時の大人と青年期の若者の脳活動では、大人も若者も、島皮質という脳領域が強く活性化する。島皮質は、不快感情や痛みを感じた時に、物理的な痛みでも、心理的な痛みでも活動する。しかし、心の痛みの時大人では活動が見られず、青年期の若者にのみ活動が見られる領域が膝下野である。
◎前帯状皮質膝下野は、悲しい表情の1)「認知」と、2)「表出」と、3)記憶の「回想」(想起)の際に活性化する。
2)「自律神経」
◎前帯状皮質膝下野は、「視床下部」、「中脳水道灰白質」、それ以外にも、「扁桃体」や「視床」の前核・背内側核、「前頭前野眼窩部」などとの強い線維連絡がある。それ故に、自律神経と関係が深い膝下野が活性化すると、自ずと、心拍数、呼吸、代謝などに変化が現れる。
前頭前野眼窩部⇒膝下野⇒(扁桃体)⇒視床視床下部(自律神経)⇒中脳水道灰白質
◎自律神経において、アセチルコリンは、副交感(抑制作用)、ノルアドレナリンは、交感(促進作用)を示す。
注)交感神経系と副交感神経系の両方(両者を合わせて「自律神経」と言う)の中枢(統轄所)は、間脳の「視床下部」にある。その視床下部は、上位の前頭前野扁桃体、海馬、脳幹からの働きによって制御されている。
参照)「自律神経」に関しては、「5-4)前帯状皮質」の「11)「視床下部(自律神経)」と「中脳中心灰白質」」