帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (15)前頭前野 0)前頭前野と前頭葉

帯状皮質って中間管理職なのか
(15)前頭前野
0)前頭前野前頭葉
0-1)前頭葉
前頭葉は、中心溝より前方にある広い領域である。前頭前野はその内で最前部に存在する。
前頭葉は、両側の大脳半球の前部に存在し、頭頂葉の前側、側頭葉の上前方に位置する。両側の前頭葉の後半部は、体を動かす「運動野」が存在する。「前頭葉」は、後半部の「運動野」と前半部の「前頭前野」に、機能的に分けられるが、明確な境界はない。
参考)4野:中心前回 、6野:上・中前頭回後部、中心前回後下部 、8野:上・中前頭回後部 、9野:上前頭回前部 、10野:前頭極 、11野:下前頭回前部 、12野・47野:下前頭回中央部 、13野・14野(・24野・25野・32野):眼窩回 、44野:下前頭回弁蓋部、45野:下前頭回三角部 、47野:下前頭回眼窩部。
大脳半球の1)外側面:上前頭回、中前頭回、下前頭回(45野46野47野9野)と中心前回、2)内側面にある内側前頭回、前帯状皮質と中心傍小葉前部、3)脳底面:眼窩回と直回。
注)上前頭回:前頭前野、高次運動野(運動前野:6野・24野)、一次運動野(4野)。
0-2)前頭前野
◎「前頭前野」は、「前頭前皮質」、「前頭連合野」とも呼ばれる。
注)この本では、前頭前野を使用する。
◎8野(前頭眼野)の一部と、9野、10野、11野、12野、44野、45野、46野、47野が、前頭前野に含まれる。

1)前頭前野との線維連絡
前頭前野には、後連合野(側頭連合野、頭頂連合野、後頭連合野)からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。
参照)「14)連合線維」の「(1)連合線維の種類」
帯状皮質、海馬、扁桃核などの辺縁系、脳幹、視床(背内側核を中心)、視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、記憶、動機づけ、身体状態や覚醒状態に関しての情報入力もある。前頭前野は、脳幹の網様体賦活系と、大脳辺縁系の両方との間に強い相互接続が存在する。
前頭前野とこれらの部位の線維連絡は、一方通行ではなく、「双方向性」を持つ。前頭前野からのフィードバック信号は、トップダウン信号として受け取る側の脳活動を制御している。
前頭前野は、運動連合野(=高次運動野:運動前野と補足運動野など)、大脳基底核尾状核被殻淡蒼球などとも相互に線維連絡があり、複雑な「随意運動」の計画や制御に重要な役割を果たす。
注1)随意運動は、筋肉を自分の意志(意思)で動かすことであり、筋肉が勝手に動くことは、「神経反射」と呼ぶ。自分の意志で動かすことのできる筋肉は、「横紋筋」といって、強く縮む力を発揮する筋肉である。逆に自分の意志では制御できない筋肉は、平滑筋と呼ばれて、ゆっくりと滑らかな動きを一日中続けることのできる筋肉である。なお随意運動に関わる主要脳領域は、大脳皮質、小脳、それに大脳基底核である。
注2)自分の意志で動かせる筋肉(横紋筋)が、自分の意志に反して動くことは、反射運動ではなく不随意運動と呼ぶ。
参考)横紋筋=骨格筋+心筋。骨格筋は、姿勢を保ち、身体を動かしている筋肉で、一般的に筋肉と呼ばれている。それに対して心筋は、心臓を構成する筋肉である。平滑筋は、内臓や血管の壁に存在し、緊張を保つことや収縮によって内臓や血管の働きを維持する。骨格筋は、運動神経支配であり、自分の意志で動かすことができる随意筋だが、心筋や平滑筋は自律神経支配であり、自分の意志で動かすことはできない不随意筋である。
参考)右前頭葉を走行する主な白質線維とその機能
1)錐体路:運動野−脊髄:運動(四肢末端の巧緻的な運動)
2)前頭斜走路:下前頭回−補足運動野:流暢性、運動制御
3)前頭線条体路:尾状核−補足運動野:運動制御
4)上縦束II:尾側頭頂皮質−背外側前頭前野:視空間認知、作業記憶、注意
5)上縦束III:縁上回−腹外側前頭前野:視空間認知、注意
6)弓状束:上側頭回尾側−背外側前頭前野:社会的認知(メンタライジング)
7)下前頭後頭束:後頭極−前頭極:感情理解、注意
8)鉤状束:前頭葉眼窩部−側頭葉先端:情動
9)帯状束:帯状皮質:注意、遂行機能
注)帯状束は、注意機能や遂行機能に関与し、全ての認知的機能の中心的存在である。

前頭葉

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