帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (3)帯状皮質の連絡・接続 2-2)「頭頂葉」との連絡

帯状皮質って中間管理職なのか
(3)帯状皮質の連絡・接続
2-2)「頭頂葉」との連絡
◎「後帯状皮質」には、頭頂間溝下部の「下頭頂小葉」(40野:縁上回:頭頂連合野)および「側頭葉」(中部および下部)からの入力がある。
注1)下頭頂小葉は、行動の技巧的操作能力、特に物体操作(例えば、コップを握って持ち上げる動作など)に関連した技巧的操作能力を表す重要部位である。
注2)距離判断の神経基盤(神経的機能中枢)は、右側を中心とした頭頂-後頭葉の後方(上頭頂小葉、下頭頂小葉後部、楔部)にある。
注3)楔部とは、17野:一次視覚野(後頭葉の一部)。楔部は、初期段階の視覚処理が行われる場所であり、網膜の上側から視覚情報の入力を受け、外線条皮質(18野19野:二次視覚野・視覚連合野)へ出力投射する。
注4)側頭葉は,聴覚に関わる上側頭回、多種感覚情報の連合を行う上側頭溝、物体認知の最高機能中枢領域の下側頭葉、更にそこから内側に入り記憶に関わる腹内側側頭領域、辺縁系に属し社会性に関わる最吻側にある側頭極で構成されている。
後頭葉には、第一次視覚野、第二次視覚野、第三次視覚野、第四次視覚野、第五次視覚野(MT野)がある。 MT野の出力先は、眼球運動に関係する前頭葉(前頭眼野)と、頭頂葉(外側頭頂間(LIP野)) である。なおLIP野は、前頭眼野や上丘に直接の神経結合がある。LIP野は、視覚から運動への変換過程に関わる認知行動において重要な役割を果たす。
注4)「下縦束」は、側頭葉と後頭葉内側面の舌状回と楔部、外側面の皮質とを結ぶ。視覚連合野のさまざまな機能領域と線維連絡があり、海馬や海馬傍回、下頭頂小葉や頭頂間溝にも達する。
注5)頭頂連合野は、頭頂間溝によって上下に2分され、上方を上頭頂小葉、下方を下頭頂小葉という。頭頂連合野=上頭頂小葉+下頭頂小葉
注6)上頭頂小葉(頭頂葉の後方:5野と7野:楔前部)の下には、下頭頂小葉(39野:角回と40野:縁上回)がある。
注7)「頭頂連合野」には、主に中心後回体性感覚野からの「体性感覚情報」、そして、後頭葉からの「視覚情報」などがそれぞれ統合される高次感覚野領域、更に側頭葉からの「聴覚情報」も含めて複数の感覚種情報が統合される1)「多感覚領域」(体性感覚情報+視覚情報+聴覚情報)がある。
また、運動前野と結びついた2)「運動の発現や調節」などの機能、および前頭前野機能と結びついた3)「注意の制御」など高次脳機能に関わる領域でもある。なお、すべての感覚情報が同時に統合される脳内部位は存在しない。
◎「楔前部」(7野:体性感覚連合野/頭頂葉内側面の後方に位置する脳回)は、「頭頂葉外側部」、「前頭葉」(前頭前野、運動前野、補足運動野)、「前帯状皮質」とも、「後帯状皮質」(23 野、31野)および「脳梁膨大後皮質」(26野、29 野、30野)とも線維連絡が密である。
◎後帯状皮質脳梁膨大後皮質と、脳梁膨大後皮質は側頭葉内側部(海馬、海馬傍回)との結合が強い。そのため、「楔前部」は、後帯状皮質および脳梁膨大後皮質とともに、「空間情報の処理」に関与する。