帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (3)帯状皮質の連絡・接続 2)帯状皮質の連絡(接続)

帯状皮質って中間管理職なのか (3)帯状皮質の連絡・接続
2)帯状皮質の連絡(接続)
◎線維連絡(接続・結合)とは、神経(本体)から「軸索」を延ばして、目的の神経細胞樹状突起と連絡(接続:シナプス接合)することである。それを、神経線維連絡、とか線維連絡とか呼ぶ。但し、接続と言っても、実際に密着するわけではなく、ほんのかすかな隙間がある。それを「シナプス間隙」という。
注)神経とは、1)動物体の各部の機能を統率し、また各部と中枢との間の「刺激伝達の経路となる器官」の総称。2)繊維状の構造をもって網のように全身に分布し、いくつかの神経系(神経ネットワーク)」をつくる。3)狭義には末梢神経系における「神経繊維の束」をいう。
2-0)帯状皮質全般
帯状皮質は、大脳新皮質の内側面にあり新皮質領域(例えば、体性感覚野、前頭前野)からの入力を受けている。
帯状皮質全体は、解剖学的に神経線維投射先や投射元が異なっていることから、機能的に細分化されている。
注1)投射とは、軸索を、属している神経集団の中だけに限局せず、遠方にも伸ばし、異なる領域間の主に上下方向の情報伝達を担う行為である。
注2)帯状皮質は、「線維束」という形で、皮質間を繋ぐ。
参考)線維束については、「連合線維、帯状束、脳弓」を参照。
2-1)「前頭葉」との連絡
大脳新皮質内側面には、左右の大脳半球をつなぐ脳梁の直上にある「前帯状皮質」と「後帯状皮質」、前頭葉前部内側縁にある、「背内側前頭前野」、「眼窩内側前頭前野」(前頭前野眼窩部)が存在する。
◎前帯状皮質は、多数の皮質下構造(下位階層)から内部環境の全情報を集めて、それを「前頭前野」(投射先)へ中継する。逆に、前帯状皮質は、前頭前野(投射元)からの情報を一斉に必要な皮質下諸構造へ伝播する役をも果たす。
参照)「3)帯状皮質の連絡・接続」の「ゲート機構」内「2)「帯状皮質」による「上下情報」の選別」
帯状皮質(特に前帯状皮質)は、前頭前野(外側部、内側部、眼窩部)や前頭眼野(8野の一部:大脳皮質に存在する眼球運動野)とも接続して、情報のトップダウン(下行)とボトムアップ(上行)の処(交通整理)をするとともに、他の脳領域への適切な制御の「割り当て」の中心的役割を担う。
注1)「前頭眼野」は、前頭葉の背外側部に存在する「眼球運動野」である。前頭眼野は、眼球運動の高次機能である、認知的制御、空間的注意など、様々な諸機能に関わる。
更に詳しく解説すると、頭頂葉にある「頭頂眼野」は、視覚情報の中の特に2)「位置情報」に関わり、「後頭葉」の視覚野から1)「視覚情報」(目標物情報)を受け取り、視点を動かすべき3)「目標(対象)の位置」を選別して、前頭眼野にその目標物情報と位置情報とを送る。前頭眼野では、目標の位置情報を眼球の4)運動情報に変換して、中脳(上丘)や脳幹に送り、眼球を動かすかどうかを決定する。
だが、前頭眼野は、眼球を動かさない状態で、周辺へ注意を向けた時にも、視覚情報処理に関与している。つまり、前頭眼野は、眼球運動そのものだけではなく、視覚目標に注意のみを向ける「注視方向の移動」にも関わっていることを意味する。
注2)「頭頂間溝内部」は、運動前野、前頭眼野、前頭前野に投射して、主に上肢と眼球の運動制御を司るとともに空間情報の作業記憶に関わる。ここが「頭頂眼野」と見なせそうである。なお頭頂間溝の外側(上部)が下頭頂葉小葉、内側(下部)が上頭頂葉小葉である。
前頭葉から、例えば、運動前野、補足運動野、前補足運動野を含む広範な領域(運動系)からの入力を、帯状皮質(特に帯状皮質運動野)は受ける。また、逆に、一次運動野、および運動前野や補足運動野を含む高次運動野を中心とした広範な領域に、帯状皮質(特に帯状皮質運動野)は出力する。
◎「外側」前頭前野から発信されるトップダウン指示は、「内側」前頭前野に接する「前帯状皮質」を通って出力される。即ち、「外側前頭前野」が行動に対する「意思決定」を行い、内側部の情報を加味した上で「前帯状皮質」(特に帯状皮質運動野)でその行動にふさわしい「運動反応の選択や準備」が行われる。

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