帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (3)帯状皮質の連絡・接続 2-3)「大脳新皮質外(下)」との連絡

帯状皮質って中間管理職なのか
(3)帯状皮質の連絡・接続
2-3)「大脳新皮質外(下)」との連絡
脳梁膨大後皮質は、「視床前核」からの入力を受けている。
注)視床前核群は、三つの核群(前背側核、前腹側核および前内側核)からなる。前核群は、乳頭体、海馬からの投射を受けて、後帯状皮質→海馬傍回→(嗅周野→嗅内野)→海馬→乳頭体という記憶に関わるパペッツ回路の一端を担う。大脳辺縁系と関連して、情動(膝下野)や新しい記憶(脳梁膨大後皮質)に関わる。
◎海馬は、前帯状皮質背側部(24野:「背側前帯状皮質」)に入力する。
注)海馬は、記憶の生成に重要な働きを持つ脳部位であり、直径1cm、長さ10cmほどの大きさで、側頭葉の裏側に一対あり、およそ1000万個の神経細胞がある。
◎背側前帯状皮質(24野)は、視床の背内側核腹尾側部、束傍核と双方向性に連絡がある。これらの核は、脊髄後角からの「痛覚情報」を中継する。
注1)束傍核は、正中中心核と共同して、感覚系と運動系の接点として働き、感覚入力に対する反応・行動の選択に関与する。
注2)視床を内側部と外側部に分ける内側髄板の中にある神経核群を「髄板内核群」という。髄板内核群は、前方核群と後方核群に分けられる。束傍核、正中中心核は、共に、その内の後方核群に属す。
◎前帯状皮質の中でも、「膝下野(25野)」は、「扁桃体」や「視床の前核・背内側核」、「前頭前野眼窩部」などとの線維結合が強い。25野以外にも、(吻側)24野・33野も情動領域に属す。
◎膝下野(前帯状皮質吻側部:25野)から孤束核へ、「腹側前帯状皮質(32野)」から中脳中心灰白質へ出力をする。
注)「孤束核」は、延髄中央部から上部背側部に存在する。脳幹の「内臓求心性の核」であって迷走神経、舌咽神経、顔面神経からの入力線維が孤束を経て入って来る。「味覚」をつかさどる孤束核上部、舌咽神経を介して舌奥・扁桃咽頭後壁の「触覚と温痛覚」をつかさどる孤束核下部とに分けられる。
大脳新皮質には、「帯状皮質を経由」して、海馬(記憶)、扁桃体(情動)、視床下部(身体反応)などの皮質下の組織からの情報が入って来る。
◎前帯状皮質は、皮質下としては、中脳辺縁系ドーパミンからの入力がある。ドーパミンの入力線維が最も密である。
注)中脳「腹側被蓋野」から投射される「ド-パミン神経」は、1)辺縁系へ投射する「中脳辺縁系路」と、2)前頭葉へ投射する「中脳皮質路」がある。1)前者(辺縁系路)は「扁桃体」の興奮(情動)により活性化され、2)後者(皮質路)は「ストレスや不安等などの負の要因」で活性化する。
参照)「ドーパミン」に関しては、5-2)「前帯状皮質」の「6)ドーパミン
」。
大脳基底核は、尾状核被殻淡蒼球視床下核、中脳に属する黒質から成る。帯状皮質は、大脳基底核の「線条体」や「視床下核」へ出力する。
注1)線条体(=新線条体=背側線条体)は、尾状核被殻、ストリオソーム、マトリックス、腹側線条体(側坐核、嗅結節)で構成されている。
注2)視床下核も、視床という用語を持つが、大脳基底核を構成する核のひとつである。大脳皮質からは興奮性入力を、淡蒼球外節からは抑制性入力を受ける。淡蒼球外節・内節、黒質網様部に興奮性出力投射を送る。視床下核は、上下肢や体幹の運動、眼球運動、情動(辺縁系の機能)、高次機能(前頭前野の機能)などにも関わっている。
注3)「淡蒼球」は、大脳基底核の一部では、外節と内節に分かれる。淡蒼球外節は、大脳基底核内における情報伝達を担うのに対し、淡蒼球内節は、大脳基底核の出力部として、出力信号を視床に送る役割を果たす。外節からのガバ作動性(抑制性)出力は、視床下核および、淡蒼球内節、黒質網様部へ入力する。
◎「後帯状皮質」は、前部視床(視床前核群)と海馬と呼応して作用し、「長期記憶情報の貯蔵」に重要である。
参考)短期記憶よりも短い感覚記憶は1〜4秒で忘れてしまう。短期記憶とは、脳のどこかに保存されてはいるが、どこにしまったのか忘れてしまった無意識下(海馬性)記憶である。長期記憶はいつでも取り出せる状態になっている意識上(大脳新皮質性)記憶のことである。
◎前帯状皮質後部は、視床髄板内核群、運動関連領野、脳幹と密接な結合がみられる。