帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (2)帯状皮質の場所(位置、区分)

帯状皮質って中間管理職なのか

(2)帯状皮質の場所(位置、区分)
0)帯状皮質の区分
帯状皮質は、1)前後(吻と尾)、2)上下(背と腹)、3)左右(左脳:左半球と右脳:右半球)とに分けられる。
注1)前=吻(ふん)、後=尾。上=背、下=腹。中心部=内、周辺部=外。
注2)内外に関しては、1)内=中心部、外=周辺部、という分け方以外に、2)「大脳縦裂」に対して、内=近い、外=遠い、という分け方もある。

1)帯状皮質の脳地図
帯状皮質は、ブロードマンの脳地図における、23野、24野、25野、26野、29野、30野、31野、32野、33野におおよそあたる。
注)これが、唯一の確定したものではなく異なる分類方法もある。この本では上記に従う。

2)帯状皮質と脳地図と名称
2-1)25野32野33野24野:「前帯状皮質
2-1-1)25野:「(帯状)膝下野(:梁下野)」。
2-1-2)24野、32野、33野:「前帯状皮質」(前部帯状皮質、前部帯状回)。
32野:「腹側前帯状皮質」「前帯状皮質腹側部」「帯状皮質膝前部」。
24野:「背側前帯状皮質」「前帯状皮質背側部」。
33野:(特に固有名詞的な名称が付いていない)
2-2)23野、31野:「後帯状皮質」(後部帯状皮質、後部帯状回)。
23野:「腹側後帯状皮質」。
31野:「背側後帯状皮質」。
2-3)26野、29野、30野:「(脳梁)膨大後部皮質」。
注1)帯状皮質を、前後に2領域、前部帯状皮質と後部帯状皮質とに大きく二つに分ける場合には、
1)25野(帯状膝下野)、24野、32野、33野を、前部帯状皮質とし、
2)23野、31野、26野、29野、30野を、後部帯状皮質とする。
注2)逆に、帯状皮質を細区分する場合には
1)帯状膝下野:「25野」(吻側)
2)前帯状皮質:「32野」(腹側)、「33野」(脳梁接地)、「24野」(背側)
3)後帯状皮質:「23野」(後部吻側、内側部)、「31野」(楔前部と隣接)
4)膨大後部皮質:「26野、29野、30野」(脳梁尾側)
3)場所、位置、領域
3-1)帯状皮質全般
帯状皮質は、領域の下端が「脳梁溝」で、領域の上端が「帯状溝」で区切られる。つまり、上部の帯状溝と下部の脳梁溝に挟まれたソーセージのような形をしている。帯状皮質は、脳梁の周囲を上(背側)から取り囲むように存在する。帯状皮質は、脳梁の全体(底部を除いて)を取り巻いている。
その左右両半球の二つの帯状皮質が、大脳縦裂を挟んで向かい合って存在する。
注)脳梁溝は、帯状皮質脳梁の間にあり、大脳縦裂の下にある。帯状皮質の領域は、下端が脳梁溝で、上端が帯状溝で区切られる。
◎(前方上から)前頭葉、(後方上から)頭頂葉、(横から)側頭葉などに囲まれて、それらの下部に帯状皮質が横たわっている。
帯状皮質は、それぞれの脳葉と線維連絡しているので、接している先の脳葉が持つ様々な役割(機能)と極めて深く関わる。
疑問)帯状皮質は、後頭葉とは隣接していないと思えるが、正しいのだろうか。
解)前帯状皮質は、後頭葉と線維結合していないが、脳梁膨大後皮質(帯状皮質の一部)は後頭葉と線維結合している。なので隣接しているといえる。
大脳辺縁系の一部である帯状皮質の内で、前帯状皮質は、脳梁前頭葉の間に存在する。
注1)帯状溝の下に位置し内側面に出ている皮質は、一般に帯状皮質と呼ばれるが、厳密には帯状皮質運動野はそこには含まれない。帯状皮質運動野を、帯状皮質に含める研究者もいるが、そうでない研究者もいる。脳地図的には、24野と31野との一部分(上部)が、帯状皮質運動野として機能する。名前が示すように、帯状皮質運動野は、前頭葉運動野の下部に位置する。なので帯状皮質運動野は、前頭葉運動野の影響を色濃く受ける。
3-2)前帯状皮質
◎「25野」は、膝下野とも呼ばれ、帯状皮質の中では、「最も前」で「最も下部」に位置し、「眼窩前頭前野(のより下部)に接して」いる。
◎「32野」は、膝前部とも呼ばれ、「25野より上部(背側)」に位置し、「眼窩前頭前野(のより上部)に接して」いる。
◎半ば32野に包み込まれた「24野」は、前帯状皮質内では、「最も後部(尾部)」に位置し、「32野よりも内部(腹部)」に、そしてより「上部(尾部)」に位置する。
◎33野は、前帯状皮質内では、脳梁の上部に最も密接・密着する。
3-3)後帯状皮質
◎「31野」は、大部分が「頭頂葉(特に5野7野)に接して」いる。
◎「23野」は、「31野の下部(腹側)」に半ば包み込まれた形で、下部前半分は脳梁の尾側部に接している。
◎26野は、脳梁膨大部に接して膨大後部皮質の内で最も吻側部に位置する。
◎29野は、26野を包み込まような形でその尾側部に位置する。
◎30野は、背面から29野を包み込むような形で尾側部に位置する。
注)26野29野30野は、層構造のように重なっている。