帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (13)脳梁、交連 1)脳梁とは

帯状皮質って中間管理職なのか
(13)脳梁、交連
1)脳梁とは
脳梁は、「左右(左半球と右半球)」の主に「大脳新皮質の間」で、情報をやり取りするための経路(神経線維の集合体)であり、ヒトの場合、約2億~3億5千万の「神経線維」(軸索)から構成される。脳梁は、長軸方向では約8cm と前後に細長い。系統発生的には最も新しく、人では非常に発育がよい。
注)脳梁は、哺乳類の真獣類(完全胎生)以上から出現する。単孔類(卵生)や有袋類(早期胎生で袋内発育)では脳梁を持っていないので、左右の新皮質は「前交連」によってのみ連絡されている。
参照)「交連」に関しては、この「13)脳梁、交連」の「6)交連」
脳梁は、大脳の両半球をつなぐ交連繊維(神経線維(軸索)群)から成るが、この繊維は大脳皮質を形成する構成物内では、交連神経の軸索である。脳梁の発生はこれら神経の分化から始まる。大脳皮質において、脳表面に近い浅層神経は深層に較べて遅く分化する。交連神経(身体の左右の情報を伝える神経)の軸索は、大脳半球では白質(神経線維が集積し走行する深い層領域)に向かった後、正中において交差し脳梁を形成する。
脳梁自体の形成は、腹側(前部)から背側(後部)に向けて進行する。「交連の形成順序」は、まず「前交連」が形成され、次いで「海馬交連」、その後で「脳梁」が形成される。
疑問)左右に分かれている脳部位は、視床から上だが、脳梁が繋ぐのは、大脳新皮質だけなのか。
解)脳梁は、主に大脳新皮質を繋ぐ。だが帯状皮質(大脳辺縁系)なども一部繋ぐ。大脳辺縁系も左右に分離した部位を持つが、縦の連結の記述がほとんど全てで、横連結(交連)の記述は皆無である。左右の脳弓間には海馬交連が形成される。島皮質、大脳辺縁系(帯状皮質、海馬傍回、海馬など)も、大脳基底核も大脳皮質に含まれる。
注1)「神経線維」とは、神経細胞の細胞体から延びる細長い突起(「軸索」)で、その軸索とそれを取り巻く神経鞘を総称した用語である。
注2)帯状皮質は、脳梁の脊側(上側)を取り巻くように、取り囲むように隣接する。帯状皮質脳梁の境界をなすのが、脳梁溝である。
脳梁線維(軸索)の髄鞘化は、かなりゆっくりと起こり、完全に髄鞘化されるのは思春期頃である。また髄鞘化は、脳梁の後部(後頭葉側)から前部(前頭葉側)に向かって進む。脳梁自体の形成は、逆に腹側(底部)から背側(上部)に向けて進行する。
注1)「髄鞘化」された神経線維は、髄鞘のない神経線維に比べて非常に速い速度で情報を伝達できる。従って、髄鞘化は、脳の発達にとってとても重要な意味を持つ。髄鞘化された脳領域は充分に機能するようになる。
注2)機能的精神的発達は、1)髄鞘化(=高速化)、2)情報量(経験)の増大、3)ネットワーク化(組織化、大規模化、多機能化)、である。しかも人の発達の順序は、1)⇒2)⇒3)へと進む。ただし、かなりオーバーラップしながら、年月をかけながら、つまり同時並列的に進行する。