帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (11)脳梁膨大後部皮質 4)嗅内野、嗅周野と記憶システム

帯状皮質って中間管理職なのか
(11)脳梁膨大後部皮質
4)嗅内野、嗅周野と記憶システム
この脳梁膨大後部皮質の章で、記憶システムを取り上げるのは、後帯状皮質脳梁膨大後部皮質が、記憶と大きく関わっているからである。
4-1)嗅内野
◎「嗅内野」(側頭葉内側部、28野)は、「側頭葉」にある領域で、主に28野にあたり、側頭葉前部の内側領域に位置する。嗅内野は、「嗅周野」と「海馬台」と「海馬傍皮質」(海馬傍回の後部と紡錘状回の内側部)とも接する。
◎嗅内野と大脳皮質の主な線維結合については、サルの場合は、「海馬傍皮質」、「脳梁膨大後部皮質」からの入力が嗅内野尾側に、嗅周野からの入力が吻側に入る。嗅内野では、その内側領域では「帯状皮質」や「後部視覚野」からの入力が見られる。嗅内野の外側領域では、主に「嗅周野」と「島皮質」、そして「前頭葉」からの入力が見られる。
◎嗅内野は、「内側側頭葉記憶システム」の構成要素として「宣言的記憶」機能に関わる。「大脳皮質」と「海馬」との間で行われる入出力のほとんどは嗅内野を介して行われる。つまり、嗅内野は、海馬と高次感覚連合野に対する「入出力ゲート」としての役割を担う。嗅内野は、物体情報と空間情報の両方に関わる。
多くの情報は、直接海馬体には入力されずに、嗅周野、海馬傍回から嗅内野を経て海馬体に伝達される。あるいは、他の皮質領域から直接嗅内野に伝達され、その後海馬体へ入力される。
参照)
疑問)内側側頭葉記憶システム」の構成要素として、どんな脳部位があるのだろうか。
解)側頭葉内側部とは、海馬、嗅内野、嗅周野、海馬傍回を含む脳内の構造をいう。
4-2)嗅周野
◎「嗅周野」は、側頭葉にある皮質領域で、35野と36野から構成される。嗅周野は様々な高次感覚連合野から知覚情報を受け取る。更に嗅周野は、前頭前野眼窩部や島皮質、そして前帯状皮質などの情動や報酬に関する領域とも線維連絡を持つ。内側側頭葉記憶システムの入り口にあたり、「知覚機能」を「記憶機能」へと結びつける。
注)35野:海馬傍回(嗅周囲皮質)。36野:海馬傍回(海馬傍回皮質)
◎嗅周野は、エピソード記憶に関連する主要経路の一つとして、主に物体に関する情報を高次感覚連合野から受け取り、嗅内野を介して海馬に供給するとともに、海馬からの出力を高次感覚連合野に逆行性に伝達する。嗅内野と嗅周野は、共に記憶情報と感覚・知覚情報を中継・仲介する位置にあるが、嗅内野は、海馬(記憶情報)をゲートする立場であり、嗅周野は感覚・知覚情報をゲートする立場である。
注)位置関係:海馬(記憶情報)ー嗅内野-嗅周野-高次感覚連合野-一次感覚野(感覚情報)

右脳側頭葉の活動

右脳側頭葉の活動

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