帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (11)脳梁膨大後部皮質 1)脳梁膨大後部皮質とは

帯状皮質って中間管理職なのか
(11)脳梁膨大後部皮質
1)脳梁膨大後部皮質とは
脳梁膨大後部皮質(脳梁膨大後方部/膨大後部皮質)は、脳梁という言葉が付くが、「帯状皮質の一部」の脳領域であり、脳梁の周囲の皮質領域の最も尾側(頭頂葉内側部/楔前部腹側)に位置する領域をいう。
◎この領域は、ブロードマン脳地図における「26野、29野、30野」に当たる。
参考)「脳梁膨大後部皮質」という名称が付けられたのは、「脳梁」の後部にある「膨大部」の更に「後部」に位置することからである。
参照)「脳梁」に関しては、「13)脳梁

2)脳梁膨大後部皮質との線維連絡
2-0)脳梁脳梁膨大後部皮質との関係
◎左右(左半球と右半球)の脳を連結する脳梁の後部は、肥大しており「脳梁膨大」とよばれている。その後ろ(尾側)に脳梁膨大後部皮質という領域がある。この部位は、(既に固定化された)長期記憶に関わる「海馬」(大脳辺縁系)と、(今だ記憶ともいえない)短期記憶に関わる「前頭葉」を結ぶ重要な結合部となっている。
参照1)「脳梁」に関しては、「13)脳梁、交連」の「(2)脳梁の区分」
参照2)「連合線維」に関しては、「14)連合線維」の「(1-3)「上縦束」」
注)短期記憶とは、保持期間が数十秒程度の記憶である。短期記憶に含まれる情報の多くは忘却され、その一部のみが長期記憶として保持される。つまり、まだ記憶固定が成される前に一時保存されている(自然消滅の有り得る)記憶内容である。
2-1)脳梁膨大後部皮質との線維連絡
脳梁膨大後部皮質は、「楔前部」(頭頂葉)とも「海馬」とも密な連絡があり、「エピソード記憶の形成や操作」に関わる。
注)海馬は、側頭葉の内側部に位置し、エピソード記憶の形成に不可欠な部位である。
参照)「エピソード記憶」に関しては、「13)脳梁」の「(4-2-2)エピソード記憶
◎「楔前部」(7野:各種感覚情報集合領域)の内側(下部:腹側部)に位置する脳梁膨大後部皮質は、「内側前頭前野」(各種情報操作領域)、前頭前野背外側部、「海馬」(記憶装置領域)、「側頭葉内側部」(記憶機能領域)との結合性が高い。
脳梁膨大後部皮質は、前頭葉頭頂葉後頭葉、海馬後皮質と強く相互に線維結合し、脳梁膨大後部皮質内の小領域どうしも相互に結合する。更には、線条体視床(前核)、視床下部、乳頭体といった皮質下領域とも結合する。大脳新皮質との結合を更に詳しく述べると、前頭葉(前帯状皮質、眼窩部、一次運動野、二次運動野)、側頭葉、頭頂葉(頭頂連合野、楔前部)、後頭葉(視覚連合野)と相互投射する。
注)海馬は、海馬体の一部。「海馬体」は、歯状回、海馬、海馬支脚、前海馬支脚、傍海馬支脚、嗅内皮質(嗅内野)に分けられる。
大脳新皮質連合野で分析された種々の各種感覚情報は、嗅周皮質(嗅周野)と嗅内野で混合され、嗅内野から貫通線維束を介して海馬体に入る。