帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (7)帯状皮質の障害と症状 0)帯状皮質の障害と症状

帯状皮質って中間管理職なのか
(7)帯状皮質の障害と症状
0)帯状皮質の障害と症状
この章では、「帯状皮質がその原因の一端となっている障害」が生じることによって現れる、1)身体的、心理的、精神的、社会的「症状」と、2)どの面(「分野」)に現れるか、3)「脳のどの部位の障害」なのかについて説明する。

1-1)帯状皮質(全般)と症状
1-1-1)「アルツハイマー病」
アルツハイマー認知症では、「記憶障害」、「遂行機能障害」、「視空間認知障害」、「注意障害」、「睡眠障害」などが出現する。
アルツハイマー病では、「認知能力の低下」は、たいてい「エピソード記憶」の異常(記憶障害)から始まる。更に進むと、「言語能力」(遂行機能障害)が衰え、更には「判断力」(認知障害)が損なわれ、遂には自分の居場所(視空間認知障害)や家族の顔(記憶障害)が分からなくなる。それに対して、運動面での失調は少ない。
注)内側側頭葉(海馬と海馬傍回(内嗅皮質・周嗅皮質・海馬傍皮質))を両側損傷した患者では、エピソード記憶の障害が顕著である。
参照)「エピソード記憶」に関しては、「6)後帯状皮質」の「2-2)記憶内容(情報)は海馬から大脳新皮質へ」
◎「精神症状」としては、性格の変化、うつ症状、異常な攻撃性(暴言・暴力など)、根拠なき嫉妬、妄想(被害妄想など)などが多い。脳の何処かに機能的・器質的な障害が発生することによって、精神や行動における特定の精神症状を呈する。
注)精神は、感覚、理解、想像、意欲、価値評価などの能力を担う。心、意識、気構え、気力、理念などを担う。
アルツハイマー病の初期を脳部位で述べると、海馬(側頭葉内側を含め記憶領域)の萎縮、後帯状皮質から楔前部や頭頂葉かけての機能低下、次いで前頭葉に大脳萎縮が現れる。
◎「強迫性障害」とアルツハイマー病は、病因(症状)が全く異なる病気(障害)ではあるが、脳での活性化という面から言えば、アルツハイマー病は、「帯状皮質(特に後帯状皮質)の機能低下」症、強迫性障害は、「帯状皮質(特に前帯状皮質)の機能亢進」症である。
参照)「強迫性障害」に関しては、この章(7)帯状皮質の障害と症状)の後半(4)強迫性障害)。
注)帯状皮質は、大脳新皮質とそれよりも下位階層の脳部位との中継拠点(情報の交通整理係)である。