帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (6)後帯状皮質 3)後帯状皮質の機能 3-5)個人的「意図」

帯状皮質って中間管理職なのか
(6)後帯状皮質
3)後帯状皮質の機能
3-5)個人的「意図」
参照)「5-2)前帯状皮質」:「16)社会的意図(他者の意図)と第六感」
◎個人的意図の課題で活性化する脳領域は、「後帯状皮質」、楔前部、「右下頭頂小葉」(縁上回と角回)、である。
注)「個人的意図」の課題とは、心の理論課題の内で、一人の登場人物の行動から、その人の意図を読み取る課題である。意図とは、行動の背後にある気持ち、動機である。
◎心的状態を推測する課題で、上側頭溝、下頭頂葉、前帯状皮質前頭前野内側部、前頭眼窩部、扁桃体がネットワーク化して活性化する。
参考)「社会的意図」の課題で活性化する脳領域は、楔前部、左右下頭頂小葉(縁上回と角回)、「前帯状皮質」、「内側前頭前野」、である。
疑問)個人的意図では、後帯状皮質が活性化し、社会的意図では、前帯状皮質が活性化するが、何が異なるのだろうか。
解)「個人的記憶(エピソード記憶)」情報を「後帯状皮質」が扱う。「社会性」を担うのは「前頭前野」であることと関係があるのだろうか。
◎「下頭頂小葉」には、脳の様々な部位から情報が集まって、そこでその集まった「異種の感覚情報の統合」を行う。体性感覚、視覚などの五感のみならず、「記憶や言語とも統合」されて、「概念形成」も行う。この領域は、個人的意図でも社会的意図でも活性化する。とすれば、この脳領域は、「意図」に関わると言える。
◎角回(39野:下頭頂小葉に属す)は、視覚性(文字)言語を聴覚性(音声)言語に変換する。ブローカ野、ウェルニッケ野が、人の言語活動の中で主として会話時に機能する部位とすれば、左角回は、読み書きに関する機能を持っている。
ウェルニッケ野(22野後部)は、話し「言葉を聞いて理解」するための機能である。言葉を聞いて理解するには左脳にあるウェルニッケ野(感覚性言語野)を使う。ウェルニッケ野は、自分の「頭の中の考え」を「言葉として組み立てる」時にも働く。話し言葉の元となる文章の構成を行い、弓状束(神経経路)を経由してブローカ野(言葉を発する機能)に伝達される。話すときはこのブローカ野(運動性の言語野)を主に使う。
注)22野:上側頭回(聴覚性言語野)(聴覚連合野)(ウェルニッケ野:左上側頭回後部)。前頭葉後下部(44野45野):運動性言語中枢(ブローカ野)。
参考)「内部モデル」(脳内モデル)とは、脳の外に存在するある対象の仕組み(入出力特性)をまねることができる「脳内神経回路」をいう。つまり、外界のある物のまねをする、シミュレーションする、脳内神経回路モデルである。一旦完成すれば、以降はそのモデルをなぞればよい。この内部モデルは、身体活動のみならず、意図、計画、思考方法、暗算、言語活動などなど、様々な習慣的言動に適応できる。内部モデルが所在する「小脳」の系統発生的に新しい部位は、運動制御ではなく、運動の想像、計画、更には、高次認知機能、例えば、パターン認識、心的操作、視覚的注意、視覚運動認知、言語、暗算、思考、イメージトレーニング、注意の移動、言語的記憶などに重要な働きをする。
注)入出力特性とは、システム全体またはシステム内の各構成要素における入力から出力までの変換特性をいう。小脳は、この内部モデル(例えば自転車乗り、言語習得)を無数に形成する。

意図