帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (6)後帯状皮質 3)後帯状皮質の機能 3-4)顔面形態表情の認知(表情・相貌認知) 笑い

帯状皮質って中間管理職なのか
(6)後帯状皮質
3)後帯状皮質の機能
3-4)顔面形態表情の認知(表情・相貌認知)
参考1)笑いの関与脳部位と「笑い中枢」
「笑顔の表出」は、表情筋の動きによって起こる。その表出には、ある程度独立的に働く二つの神経経路が関係する。
1)その一つはトップダウン型「随意的な作り笑い」であり、前頭前野-運動野-皮質核路で1)「錐体路系」を介する経路である。随意的な笑いの際は、両側の一次運動野(4野)と補足運動野(随意運動に関わる)に活性が認められるが、大脳基底核被殻は反応しない。
注1)運動野、体性感覚野、視床の髄板内核黒質から、被殻へ投射がする。被殻からは、淡蒼球視床を介して、皮質の運動前野と補足運動野への投射する。
注2)「錐体路(皮質脊髄路)」は、「随意運動」の伝導路である。その経路は、前頭葉の運動野から延髄の錐体交差で反対側に交差し、脊髄の前角にまで至る。この経路は、運動の入り切りスイッチの働きをする。
2)もう一つは楽しいときやユーモアに対する「自発的(不随意的情動的)な笑い」を生み出す回路である。それは、扁桃体などの大脳辺縁系が関係し、表出には大脳基底核を中心とする神経経路で2)「錐体外路系」が関与する。情動的な笑いでは、大脳辺縁系と内側眼窩部などの情動脳が主に働いて、両側の補足運動野と左の被殻に活性が現れるが、一次運動野には変化はない。
これらの笑いの両システムは共に、橋上部にある笑い中枢を制御しており、脱抑制的に働く。笑い中枢は普段は抑制されており、意図的な作り話しの刺激やユーモアなどの情動的な刺激に反応して脱抑制される。つまり笑い中枢は、随意と不随意の両方で作動する。
参考2)笑うと、NK細胞(免疫力に関わる)の活性化を促し、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)が低下する。逆にストレスのある時は、NK細胞の活性は下がり、コルチゾールが上昇する。つまり、笑いにはストレスを抑制する効果があり、精神的な病に対する抵抗力を強める。2)感情中枢(大脳辺縁系扁桃体)からは、純粋に楽しくて心地よい笑いが生まれる。1)自律神経の中枢(視床下部の乳頭体付近)からは、心地よい笑いと緊張緩和の笑いが起こる。3)前頭前野からは、社交的な笑いと緊張緩和の笑いが起こるが、逆に笑いを抑制したりもする。
注)笑うと、免疫制御機能を司る間脳に興奮が伝わり、神経ペプチドが活発に生産される。なお神経ペプチドとは、神経細胞の興奮と抑制を他の細胞に伝える情報伝達物質の総称で、それは血液やリンパ液を使って体内を巡り、ナチュラルキラー(NK)細胞の表面にくっついて活性化させる働きがある。