帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

(5-2)前帯状皮質(個別機能) 16)社会的意図(他者の意図)と第六感 16-1)社会的意図

帯状皮質って中間管理職なのか
(5-2)前帯状皮質(個別機能)
16)社会的意図(他者の意図)と第六感
16-1)社会的意図
◎人は、「予測性」(必然性)が低い対象(人や物)の振る舞いに対して、そこに「合理性や適切な説明性」を見出すことで、その振る舞いに物理(機械)的な振る舞いではない、他者の「意図性」を見出していく。つまり、物は、必ず物理法則に従って振る舞うが、それに較べれば人(他者)の振る舞いに規則性は低い。結果、その都度その都度他者の振る舞いをある程度「意識的に予測」しなければならない。その予測の判断基準が「意図」である。
参照)「意図」に関しては、「14)意識と努力と意図と心的ストレス」の「14-4)意図」
◎「社会的意図」の課題で活性化する脳領域は、楔前部、左右下頭頂小葉(縁上回+角回)、前帯状皮質、内側前頭前野、である。
注1)「社会的意図」の課題とは、二人(あるいはそれ以上)の登場人物による会話(コミュニケーション行動)や振る舞いから「意図を読み取る」課題である。
注2)個人的意図の課題でも、同じような脳部位が活性化する。
参照)「個人的意図」に身につけては、「6)後帯状皮質」の「(5)個人的「意図」」
注)知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・問題解決などの、人間の高次認知機能を研究対象とする認知心理学では、他者の心的状態を推測する精神機能を「心の理論」という。
16-2)第六感
◎第六感とは、五感以外のもので、しかも五感を超えるものによって、論理的ではないが、「鋭くものごとの本質をつかむ心の働き」をいう。
◎第六感(将来に投影される意図)の課題で活性化される脳領域は、社会的意図の課題で活性化される脳領域から、下頭頂小葉(縁上回+角回)を除いた脳領域である。つまり、第六感に関わる神経ネットワークは、楔前部(7野)、前帯状皮質、内側前頭前野、である。
注)「頭頂連合野」に関して、その上方部は5野と7野、下方部は39野と 40野に分かれている。「5野と7野は上頭頂小葉」、「39野と40野は下頭頂小葉」と呼ばれている。下頭頂小葉は、縁上回(40野)と角回(39野)で構成される。頭頂連合野(上方部は5野と7野、下方部は39野と40野)は、多数の感覚野の情報を集め、それらを集約統合することによって、知覚情報として全体的に取りまとめている。更にその情報を目的に応じて使いやすいように変換する。その情報は下頭頂小葉に送られ、空間に対処するための高度な認知情報として利用される。
◎「論理思考」は、「前頭葉が主導権」を取る「意識的思考」方法であるのに対して、「第六感」は、「頭頂葉(頭頂連合野)が主導権」を取る「無意識的判断」方法であると言える。
注)スーパーコンピューター「京」は、人脳が1秒間に行ってる情報処理に40分(40×60=2400)かかる。しかし、京を性能的に100倍超える「富岳」が登場している。でもまだこれでも人脳を超えてはいない。
◎第六感に近い能力として洞察力がある。「洞察力」とは、物事を観察した結果に基づいて、その「本質や根底にあるものを見抜く力」をいう。洞察力を高めるには、ある分野での経験が大きく左右するので、好奇心を持って時間をかけて観察して情報を多く取得し、判断材料を増やすことが必須である。この定義からすれば、洞察力=第六感といえる。