帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (5-2)前帯状皮質(個別機能) 6)ドーパミン(その一) 

帯状皮質って中間管理職なのか
(5-2)前帯状皮質(個別機能)
6)ドーパミン
6-0)ドーパミンとは
ドーパミンは、神経伝達物質(ホルモン)で、運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる。どのような脳部位に作用するかで、つまり作用する相手の脳部位の機能によって、効果が決まる。
セロトニンドーパミンは、脳全体の機能を調節する働きを持つ。つまり、機能を働かせる活性剤(オンオフスイッチ)である。
注1)セロトニンは、情動、認知、攻撃性、食欲、睡眠、呼吸、その他の様々な生理学的行動学的機能に関与する。
注2)ノルアドレナリンドーパミンセロトニン
ノルアドレナリンは、ストレスが生じた時に、緊張、不安、集中など、積極性・興奮性をもたらして、ストレスに打ち勝とうする。
しかし、過剰になると、攻撃的になったり、ヒステリーを起こしたり、パニックになったりする。ドーパミンは、人生に喜び、快楽、意欲をもたらす。しかし、過剰になると、過食、アルコール、パチンコ、ゲームなどなどの様々な依存症になったりする。セロトニンは、それらアドレナリンやドーパミンが過剰になって暴走しないように、抑制的に調節する。
6-1-0)ドーパミンの主要経路
◎「中枢」(中枢神経系)における「ドーパミン神経」は、4つの主要経路に分類される。
注)神経系は、中枢神経系と末梢神経系とに二大別される。中枢神経系とは、脳と脊髄とをいう。
1)黒質-線条体路:中脳の「黒質」から背側「線条体」(被殻尾状核)に投射。この経路のドーパミンが不足すると、「パーキンソン病」に。運動系機能を司どる被殻、精神系機能を司る尾状核
注)大脳基底核は、大脳皮質と視床・脳幹を結びつけている神経核の集まりで、線条体淡蒼球黒質視床下核から構成される。その役割は、運動調節・認知機能・感情・動機づけ・学習などさまざまな機能を司る。線条体は、身体の随意運動の調節や姿勢、筋肉の緊張を調整する機能を司る。
2)中脳-皮質路:中脳の「腹側被蓋野」から「大脳皮質(前頭前野)」に投射。
3)中脳-辺縁系路:中脳の「腹側被蓋野」から「辺縁系」に投射。
4)隆起漏斗路:視床下部(脳下垂体)に投射。視床下部におけるドーパミンの主な機能は、下垂体前葉ホルモンであるプロラクチンの分泌を抑制することである。
6-1-1)ドーパミンの中脳-皮質路(前頭葉を中心として)
ドーパミンは、神経伝達物質の一つで、脳内「報酬系の活性化」において中心的な役割を果たす。特に「前頭葉」に分布するもの(中脳-皮質路)が広い意味での報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担う。例えば、新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ドーパミンなどの脳内化学物質が必要になる。
参照)「5-2)前帯状皮質(個別機能)の4)「報酬」」
ドーパミン感受性神経細胞の大半が「前頭葉」に存在する。具体的には、ドーパミンは、前頭葉の働きである、実行機能、行動選択、認知制御、意思決定、情動判断などの多様な高次機能に関わる。つまりドーパミンは、「積極的に活動」したり、学習「意欲を高め」たりする機能を持つ。
前頭前野ドーパミンは、安静(内省)時に、前頭前野外側部では減少し内側部(デフォルトモードネットワーク)では増加する。逆に認知課題遂行中は、前頭前野外側部で増加する。
◎瞑想や呼吸法の実践中、雑念を持たず、リラックスしてただ今だけに集中して研ぎ澄まされている状態になると、「背内側前頭前野」の活動が低下する。
前頭前野が効率的に働くためには、ドーパミン量が最適なレベルにあることが必要である。例えば、強いストレスは、前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。老化に伴って、前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。ドーパミン量は上振れても下振れても、どちらの場合も認知機能は低下する。