帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (5-2)前帯状皮質(個別機能) 4)報酬(その三)

帯状皮質って中間管理職なのか
(5-2)前帯状皮質(個別機能)
4)報酬
4-4)報酬と罰
注)眼窩前頭前野外側部は、罰(マイナスの価値)の評価に関係することで、現在行っている行動に変化(見切りを付けさせる)を引き起こす。
注)罰(負の価値)は、報酬(正の価値)に対する用語で、身体的、心理的、経済的、社会的罰がある。
参考)罰と痛み。罰系の神経経路は、間脳と中脳の室周系がその中心的位置を占める。この経路は、脊髄から中脳の被蓋、脊側縦束を経て、内側視床下部視床内側部などを通る。これらの経路は、痛覚伝導路とされる中脳中心灰白質視床腹側部、視床下部などと経路を共有する。つまり「罰」系経路は、「痛覚」と密接な機能的関係を持つ。罰として(身体的、心理的、社会的)痛みを与えることは、自然な成り行きなのだろう。罰系刺激は、交感性反応(心拍、呼吸数の増加、瞳孔散大、立毛など)を高頻度に出現させる。
痛み=不快=罰。
参照)「痛み」に関しては、「*1帯状皮質が関わる個別機能2)「痛み体験」」
◎報酬に関する意思決定課題の遂行中には、「前帯状皮質」ないし中帯状皮質(24野)が関わる。特に、実際に与えられた報酬が期待される報酬に比べて少なく、その結果、行動を変えるときに活性化する。また、実際にもらえた量と、もらえたかもしれない他の選択肢の報酬もモニタリング監視している。逃がした魚は大きい。
注)帯状皮質運動野吻側部は、報酬の情報に基づく行動選択などの高次機能にも関与するので、この場合の前帯状皮質帯状皮質運動野吻側部(32野)に相当すると考えられる。
◎あらかじめ見積もった「危険予測値」とは違って、うまく逃げて、実際の体験がそれほど危険な目に遭わなかった場合には、危険回避ができたことにほっと安心する。この「ほっと安心」する時にも、ドーパミン神経の活動が上昇する。この場合、ドーパミン神経は、行動する前に動物が持っている「危険予測値」と、現実の結果の差(「予測誤差」)に応じて反応する。このように「ドーパミン神経」は、報酬に限らず、危険(不安・恐怖)・罰に対しても、「予測値と結果との誤差が良い方に上振れたら反応」する。すると危険回避できたその行動が学習され強化される。要するに、「ドーパミン神経は、予測値と結果値との誤差が良い方向に上振れたら反応」する仕組みを持つといえる。
参考)心理療法に、系統的脱感作療法があり、不安・恐怖の生じる事柄を不安階層表に分けて、段階的に暴露(実体験)しながら、不安・恐怖の感じ過ぎを徐々に抑制していく技法である。

*1:5-2