帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (5-2)前帯状皮質(個別機能) 3)「デフォルトモードネットワーク」(その二)

帯状皮質って中間管理職なのか (5-2)前帯状皮質(個別機能)
3)「デフォルトモードネットワーク」
3-2)その他ネットワーク
◎主に安静(受動性意識)時に働くネットワークに関しては、主要なものとしては、1)「背側注意ネットワーク」 、2)「ワーキングメモリネットワーク」 (作業記憶)、3)「デフォルトモードネットワーク」 、4)「顕著性ネットワーク」 などがあげられる。
参照)「背側注意ネットワーク」に関しては、「5-4)前帯状皮質」の「12)「外向性(背外側システム)と内向性(腹内側システム)」」
3-2-1)「メンタライジングネットワーク」
◎デフォルトモードネットワークと同様に、「メンタライジング」、即ち、「心の理論」にかかわるネットワークは、前頭前野内側部、帯状皮質前部、側頭頭頂接合部、上側頭溝後部、海馬体などから成り立っている。
注)「側頭頭頂接合部」は、「自他の区別」や「他者の意図や思考」を推察する「心の理論」と関わる。脳は、「自他の区別」を「フィードバック情報」に依存し、「虚実の区別」を「メタ認知」に頼っている。
◎「メンタライジングネットワーク」は、メンタライジング(他者の心的状態を見出したり推論したりすること)、即ち、「心の理論」と呼ばれる、「自己や他者の心の世界の推論」に関連するネットワークである。
◎メンタライジングが障害されると、相手の感情を推測したり、場の空気を読むことができなくなるため、対人関係に問題が生じ、社会生活に上手く適応できなくなる。
3-2-2)「セイリエンスネットワーク」(顕著性ネットワーク)
◎「セイリエンスネットワーク」(顕著性ネットワーク)は、内臓などからの内受容感覚を受ける「前帯状皮質と島皮質」から構成される。
◎島皮質は、前部帯状皮質とともに「顕著性ネットワーク」において中心的な役割を担う。顕著性ネットワークは、外界(外部環境)と内界(内部環境)の顕著な刺激を同定し、その刺激処理を行うために、「デフォルトモードネットワーク」と「中央実行ネットワーク」(作業記憶)との間のネットワークの「切り替え」も行う。
参照)「顕著性ネットワーク」に関しては、「12)島皮質」の「*1島皮質の機能」の「3-1-1)顕著性ネットワーク」
注1)顕著性ネットワークは、「体の状態の意識化」や外界・内界の顕著な刺激を同定する。
注2)「中央実行ネットワーク」(ワーキングメモリ、作業記憶)は、課題などに集中した状態の時に活性化する。前頭前野背外側部と帯状前皮質前部などからなるネットワークであり、認知の柔軟性や構えの切り換え、抑制、作動記憶、監視などの複数の認知処理が必須の状況において、課題遂行を最適化するためのメカニズムである。作業記憶は、能動的(トップダウン)意識を向けた場合に働くが、デフォルトモードネットワーク(DMN)は、受動的(ボトムアップ)意識状態において働く。作業記憶は、論理思考(収束思考)であり、DMNは、直観(発散)思考である。
参照)「作業記憶」に関しては、「4)帯状皮質全般の機能」の「3-2-3)作業記憶」

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