帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (5-1)前帯状皮質 5-9)作業記憶と注意と記憶回想

帯状皮質って中間管理職なのか
(5-1)前帯状皮質
5-9)作業記憶と注意と記憶回想
◎内側前頭前野、前帯状皮質頭頂葉は、「作業記憶」、「注意」、「記憶の回想(想起)」に関わる脳領域である。記憶の存在想起は、右頭頂葉前頭葉内側部、左右海馬など大脳の広範な部位が関わるが、内容想起は右海馬の活性化だけである。
参照)「作業記憶」に関しては、「4)帯状皮質全般の機能」の「3-2-3)作業記憶」
参照)「注意」に関しては、「6)後部帯状皮質」の「(3)「注意」」
5-10)報酬(現在を未来に差し向ける:未来志向)
◎前帯状皮質を含む「辺縁系」は、「前頭葉」の役割である1)「目標志向的行為」が適切に達成された場合には、それ(目標志向的行為)と2)「報酬系」(報酬的評価)とを関連付けた上で、次なる行為の3)「内発的動機づけ」(情動系:意欲・行動化)として利用できるようにするための、前頭前野(企画)への「フィードバック機構」の役割を担っている。
言い換えると、つまり前頭葉側から言えば、1)無味無臭無方向な「知」(大脳新皮質)を、2)情の「情動系」と3)欲望・意欲の「報酬系」とに密接に結びつけ統合することによって、新しい目標志向性を生み出す。
注)報酬系の中で重要な役割を担っているのが、中脳の腹側被蓋野ドーパミン神経である。
参照)「ドーパミン」に関しては「*1帯状皮質」の「ドーパミン
5-11)プライミング処理
◎前帯状皮質は、不適切な無意識的プライミングの抑制に必要な、実行制御機能と関わりを持つ。前帯状皮質は、情報の「抑制」や「制御」が必要な課題全般で強く活性化する。というのは、前帯状皮質は、ほって置けば、無意識的に自動的に作動してしまう流れ(習慣的行為)に竿を挿す役割を担う。
注)「プライミング効果」とは、先行する刺激の処理が、後の刺激の処理を促進または抑制する効果。人の脳は、与えられた情報の連続性を重要視しているが故に起こる。このプライミング効果は潜在的(無意識的)な処理である。無意識を意識化するのが前帯状皮質である。
5-12)内臓刺激と知覚
◎下行結腸刺激は、直腸刺激に比し、二次体性感覚野、背外側前頭前野、内側前頭前野、前帯状皮質をより活性化する。直腸は、自律神経によって支配されていて、痛みを感じる神経がない。
注)結腸は、消化管で吸収利用されなかった食物の残渣を貯蔵する器官で、直腸は、肛門の直前にあるほぼまっすぐの器官ある。結腸⇒直腸⇒肛門
◎右背外側前頭前野は、橋、右海馬、左前帯状皮質、右下部頭頂葉における脳活動と協調して活性することにより、内臓知覚の催眠変容(催眠によって内臓感覚を知覚する内容が変わってしまうこと)を促進する。他方、催眠変容を阻害する神経回路として、右内側前頭前野、左後帯状皮質の関与がある。
◎前帯状皮質情動領域の活動は、自律神経系、内分泌(ホルモン)系の「制御」に関与し、情動に関する、身体内外からの情報を「評価」し、「学習」し、身体運動を含む情動「反応」を制御している。

*1:5-2