帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (5-1)前帯状皮質 5)その他諸々の個別機能

帯状皮質って中間管理職なのか
(5-1)前帯状皮質
5)その他諸々の個別機能
5-1)眼窩前頭前野ネットワーク
◎「眼窩前頭前野ネットワーク」は、内側前頭前野、外側前頭前野腹側部、前帯状皮質から構成される。
前頭前野眼窩部は、視床背内側部から入力を受け、扁桃体や海馬、視床下部線条体と密接に連絡している。前頭眼窩部の前方(13野(島皮質)の前より部分と11野)は、「視覚」、「聴覚」、「体性感覚」情報の入力を受け、前頭眼窩部の後方は、「味覚」、「嗅覚」、「内臓感覚」の情報を受けて、視覚・聴覚・体性感覚情報との連合・統合が生じている。
注)視床背内側核の投射先は、前頭前野外側、中間および内側眼窩領域に終わる。視床背内側核は、体性・内臓性情報を統合して前頭葉へ投射する。また、視床下部から自律神経系にも作用しする。
◎情報側から見ると、「外的情報」(感覚情報)は、先ずは「外側眼窩前頭前野」で処理されて、「内側眼窩前頭前野」が「記憶に基づいた評価」をした上で、期待などと比較して、その期待とのズレ(誤差・差分)に応じて、「前帯状皮質と連動」しながら、期待とのズレが大きい場合には、意識が立ち上がりその行動にふさわしい運動反応の選択や準備が行われて意思決定して、最終的な行動決定をする。ズレが小さかった場合には、そのまま無意識が自動的に処理する。
5-2)前帯状皮質と行動監視と社会的認知と情動
◎前帯状皮質(24野:背側前帯状皮質と32野:腹側前帯状皮質)は、「行動モニタリング」や「行動調節」に関わる。特に「社会的認知」、及び「情動」にも関わる。
参照)「社会的認知」に関しては、「9)前帯状皮質膝前部(32野)」の「(3)膝前部の機能」の「3-2)社会的認知」
5-3)前帯状皮質と島皮質
参照)「島皮質」に関しては、「12)島皮質」
◎右側「前部島皮質」は、「眼窩前頭前野」、「前帯状皮質」、「扁桃体」、腹側線条体視床下部、中脳中心灰白質など「情動」関連領域と線維連絡がある。島皮質が、1)自己の「身体状態」を意識し、それを2)「文脈や状況」と組み合わせることによって、3)「主観的感情を生み出している。
注)怒りの認識は、左島皮質と関連する。
参考)「文脈と状況」とに関して、運動時、集中時、思考時、睡眠時などの行動という面での文脈に適した情報処理が「ホルモンを介して」行われる。例えば、運動時にはノルアドレナリンセロトニンが、集中時などにはアセチルコリンの分泌が、特に前頭前野(思考機能)ではドーパミンが作用すると集中力が高まるが、このようにホルモン分泌が文脈的状況的場面で促進されることによって脳情報処理が合目的的に遂行される。
5-4)運動学習
参考)運動と動作と行動。「運動」は、「筋肉が収縮して動く」ことであり、「動作」は、「意味を持った動き」のことであり、筋肉を動かす運動をして、いろんな動作を組み合わせて、「目的を達成」するを「行動」という。このように運動から動作へと階層が上がり、動作から行動へと階層が上がる。運動階層では、筋肉が核と成り、動作階層では、意味が核となって運動が構成され、行動階層では、目的が核と成って動作が構成される。運動階層は脳幹以下が担い、動作階層は大脳基底核が担い、行動階層は前頭葉(大脳新皮質)が担う。
◎運動を伴う通常の運動学習の後期では、一次運動野、運動前野、補足運動野、一次体性感覚野、頭頂間溝、第二体性感覚野、前帯状皮質尾側部(24野:認知領域)、小脳が活性化される。
注)運動学習は、1)認知段階(初期相:目標と戦略)、2)連合段階(中間相:試行錯誤期:プログラミング期)、3)自動化段階(最終相:無意識化・習慣化:小脳)に分けられる。
◎身体的運動学習において、「前頭前野背外側部」は、「作業記憶」機能を担い、情報の記憶中枢として、主に「学習初期」に機能する。試行錯誤期を経て運動が「習熟」すると、その経験は「頭頂連合野」に「身体図式」として格納される。いわゆる「意識化」の過程から「無意識化」の過程への移行である。運動前野は、感覚情報に基づいた運動学習の中枢であり、中でも視覚への依存度が高い学習過程の初期に特に働く。補足運動野は、感覚情報に依存せず、学習した記憶内容に基づく連続運動の実行機能を有し、学習後期により働く。小脳回路は、運動領域からのトップダウン情報と運動に関する末梢からのフィードバック感覚情報を統合して、運動を適正化する役割を果たす。
注1)「頭頂間溝」(外側が下頭頂葉小葉、内側が上頭頂葉小葉で、両者を隔てる溝)の機能は、感覚と運動の協調(眼球運動や到達運動の方向制御など) 、視覚的注意、記号的な数字の情報の処理、視覚空間的ワーキングメモリ、他人の意思表示の解釈、である。
注2)運動領域=運動野は、前頭葉の一部で、意図・随意・意識的な筋肉の運動を制御する領域をいう。

前頭葉

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