帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (3)帯状皮質の連絡・接続 視床

帯状皮質って中間管理職なのか
(3)帯状皮質の連絡・接続
参考1)視床
◎広義の「視床」は、1)「背側視床」、2)「腹側視床」に区分される。狭義の視床は、「背側視床視床後部、視床網様核」を合わせたものを指す。つまり、狭義の視床には、腹側視床は含まれない。
疑問)何故、腹側視床は、視床の中に含まれないのか。
解)残念ながら不明。腹側が視床下部におおわれることと関係するのだろうか。即ち、視床は、間脳上部に位置する卵形の灰白質で、その内で背側は大脳半球に、腹側は視床下部におおわれている。
◎「視床」は、間脳の一部を占める部位で、嗅覚を除き、味覚、視覚、聴覚、体性感覚などの感覚情報を受け取り、種々の感覚伝導路の中継地として、受け取った情報を分析統合し大脳新皮質へ伝える。
疑問)「味覚」の感覚伝導に関してはどうなのだろうか。
解)味覚神経→延髄孤束核(および橋結合腕傍核)→「視床味覚野」(視床後内側腹側核)→大脳皮質味覚野(第一次味覚野)と島皮質の順に味覚情報は上行する。更に大脳皮質前頭前野(眼窩部:第二次味覚野)、視床下部扁桃体にも味覚情報は送られる。
参照)「嗅覚」に関しては「12)島皮質の」「3-3)感覚情報」
注)「視床網様核」には、「抑制性細胞のみ」が存在しており、大脳新皮質へ投射する視床細胞へ抑制性入力を送る。
視床は、投射する方法の違いから3つの核群に分類される。
注)視床神経核の区分や名称は研究者によって異なることが多い。
1)感覚野や運動野といった皮質の「特定部位」へ投射する「特殊核」、
1-1)外側漆状体(視覚中継拠点)は、網膜からの視覚情報を受け取り後頭葉の一次視覚野へ中継する。
1-2)内側漆状体(聴覚中継拠点)は、聴覚情報を側頭葉の「一次聴覚野」へ出力する。
注)一次聴覚野は、側頭葉の上側頭回、横側頭回に位置し、視床の内側膝状体から聴放線を通じて、信号を受ける。
1-3)3つの核からなる外側核は、感覚情報を大脳皮質体性感覚野(頭頂葉)へと中継する。
2)「皮質連合野」へ投射する「連合核」、
◎外側核群は、背側核群、後外側核、視床枕核から構成され、立体認知や感覚情報の統合、眼球運動などに関わる。中脳などから入力を受け、大脳皮質連合野へ投射する。辺縁系と関連し、記憶や情動形成に関わる。後外側核は、視床の他の核からの線維を受け、頭頂連合野に連絡する。
◎「視床背内側核」は、前頭葉視床下部線条体などと連絡し、体性、内臓性情報を統合して前頭葉へ投射する。感覚に基づく情動に関係する。背内側核は、作業記憶などの高次機能にかかわり、前頭前野との間に密な相互的線維連絡を有している。
視床内側腹側核は、痛み、気温、かゆみ、周りの酸素の量、性的な感触などの、情動や恒常性に関する情報を担っている
◎「視床前核群」は、乳頭体から線維入力を受け、帯状皮質と結合する。大脳辺縁系と関連しており、情動や新しい記憶と関連する。前核群は、記憶、特に空間記憶に関わる。
3)「皮質全体」に広く投射する「非特殊核」
髄板内核群は、脳幹網様体から送られてくる神経信号を大脳皮質の広範な領域に中継して、大脳皮質の活動を高め、覚醒状態を維持する。それ以外にも、痛みに伴う情動、動機付けなどをも分担する。非特殊核である髄板内核群は、内側髄板の中にある核で、中心正中核、束傍核などが含まれる。これらは上行賦活系に関与している。脳幹網様体視床下核などから入力を受け広範な大脳皮質や大脳基底核などへ投射する。そのため内側髄板が損傷されると意識障害などが生じる。
視床下核脳幹網様体⇒髄板内核群⇒大脳皮質、大脳基底核
注)視床下核は、大脳基底核の構成要素の神経核のひとつで、視床(背側視床)には含まれないが、腹側視床の構成要素の一部である。視床下核は、単に上下肢や体幹の運動だけではなく、眼球運動、前頭前野の機能である高次機能、辺縁系の機能である情動などにも広範囲にわたり関わっている。