帯状皮質って中間管理職なのか

帯状皮質(帯状回)について調べた事柄を本の形式で提示していきます。

帯状皮質って中間管理職なのか (3)帯状皮質の連絡・接続 1)帯状皮質とは

帯状皮質って中間管理職なのか

(3)帯状皮質の連絡・接続
1)帯状皮質とは
帯状皮質は、「脳梁」の上に乗っかっている。帯状皮質脳梁も共に、「ゲート(門)の役割」を担うが、何と何と、何処と何処とを開閉するかで、大きな違いがある。
注)「ゲート機構」に関しては、この後で詳しく解説する。
脳梁は、左右の大脳新皮質の間にあって、「左右」両半球という「横の繋がり」を担う。それに対して、帯状皮質は、「大脳新皮質」とそれよりも「下位階層」(大脳辺縁系など)にある脳部位とを繋ぐ、という「上下を繋ぐ」役割を主に担う。それに加えて、「同側の脳葉間」という「横」の繋がりをも取り持つ。つまり、帯状皮質は、上下の「縦」と同側の「横」を繋ぐ「仲介」と「交通整理」の役割を担う。
参考)脳回と脳溝
疑問)投射、連合、交連は、回や溝をまたいで繋ぐのだろうか。
解)「両半球は脳溝をまたぐ5種の横連合神経で連絡しており、それらのうち最大なのが脳梁である」(wikipediaから引用)という記述がある。脳内の神経細胞は、「軸索」と呼ばれる長い突起を脳内の正しい場所に伸ばして、正しい神経細胞と結合することで脳の活動に必要な神経ネットワーク(神経回路)を作る。灰白質は、脳の表面の神経細胞部分を指し、白質(軸索部分)は、灰白質の内側にあって神経細胞の軸索部分を指す。「白質部分にまで回や溝は完全には入り込んでいない」。放線冠は運動線維を含む錐体路や感覚線維が通っている。放線冠とは、大脳内部を放射状に走行する神経線維(軸索)の束を指す。大脳内部(大脳髄質を走る大量の神経線維)が大脳の最も奥にある内包で、大脳基底核視床などを中心として放射状に走る。つまり、内包は、大脳基底核視床などと大脳の表面にある大脳皮質とをつなぐ線維の束を指す。放線冠は、大脳半球の深部にある有髄線維の集団であり、全体が一続きの広大な実質(一大集合体)である。また内包は、視床大脳基底核の間にある白質部分で間脳に含まれる。大脳皮質への入出力線維が通過する。結論としては、軸索は、回や溝を跨ぐ必要がない、というのは、軸索部分(髄質、白質)には、回や溝は入り込んでいないから。
参考)「投射、連合、交連」に関しては、「14)連合線維」の「注)連絡する線維の種類」
◎脳のしわ(凹凸)は、離れた領域をつなぐ神経細胞の物理的な力によって生じる。複数の神経細胞が異なる皮質領域に軸索を伸ばし、2つの領域が強く引っ張られることで脳溝ができる。逆に弱い力で引きあう部分は隆起して脳回となる。皮質領域間の連結は、胎児の発生過程で進み、回と溝のでき方や形状は種によってほぼ一定している。なおシワ(脳回と脳溝)は進化的に哺乳動物にのみみられる。つまり軸索が先に発生・発育・発達して、その影響で回や溝が生じる。
◎大脳半球は、「神経細胞」(本体)が密集している「灰白質」と、主に「神経線維」(軸索など)や「ミエリン」(髄鞘)からなる「白質」で構成される。脳回を持つ大脳では灰白質層はすべて弯曲している。一方、それよりも内側に有る白質層は灰白質との境界でのみ弯曲に対応し、白質の側脳室(中心へ向かう内部)側は平滑であり弯曲は見られない。
脳溝は、胎児の時に大脳が大きくなるにつれて形成され、生まれた段階で既にできあがっているので、生後は増えない。シワ(回溝)の数やシワ深浅が機能分化(多様化)に関わっているように思える。
参考)アインシュタインの死亡時の脳の重さは、1230gで、平均1400gよりも軽めだった。でも、加齢に伴う色素沈着もなく脳の見た目年齢は若々しかった。神経細胞の数はごく平均的だったが、神経伝達をスムーズにしたり、傷ついた神経細胞を速やかに修復する、縁の下の力持ち的「グリア細胞の比率が、ケタ外れに多かった」という。
注)脳回の形成機構としてこれ以外にも様々な仮説が提唱されている。例えば、脳のシワを作るのに重要な遺伝子が発見されているとか。